万葉集第5巻「梅花の歌三十二首并せて序」
天平二年正月十三日に、帥老の宅に萃りて、宴會を申ぶ。
時に、初春の令月にして、氣淑く風和ぎ、
梅は鏡前の粉を披き、 蘭は珮後の香を薫す。
加之、曙の嶺に雲移り、松は羅を掛けて蓋を傾く、
夕の岫に霧結び、鳥は縠に封ぢられて林に迷ふ。
庭には新蝶舞ひ、空には故雁帰る。
ここに天を蓋にし地を坐にし、膝を促け觴を飛ばす。
言を一室の裏に忘れ、衿を煙霞の外に開く。
淡然として自ら放にし、快然として自ら足る。
若し翰苑にあらざるは、何を以ってか情を攄べむ。
詩に落梅の篇を紀す。古と今とそれ何そ異ならむ。
宜しく園の梅を賦して聊かに短詠を成すべし。
タイトル 「令月」
制作年 2019年5月1日 (令和元年・元日)
技法 焼刻画・鉛筆画・ペン着色
絵のサイズ 750mm×500mm
素材 シナベニア4.0mm